おそばと日本酒の相性研究2

2009年6月16日

 静岡駅ビルにありますSBS学苑パルシェにて「おそばと日本酒の相性研究2」をしました。その時の模様をお伝えします。

 お酒とお料理の相性研究をしてもらいました。お酒は藤枝の喜久醉、おそばはパルシェ6階のやぶ福さんにお願いしました。美味しいお酒とおそば、素敵なみなさんにより素晴らしい結果が出ました。お酒とお料理の相性研究って面白いですね。

 喜久醉を醸す青島酒造の青島孝さんにはSBS学苑の合同日本酒講座(沼津・静岡・パルシェ・浜松)にゲストでお越しいただいたことがあります。その時に、目指すこととして、おそばにあうお酒を造ると言われました。

 私はその時のことをおぼえていて、いつか講座でおそばと喜久醉の相性を探ってみようかと計画していました。そして、ついに今回実行できたわけであります。この結果は喜久醉の青島さんにも送ろうかと思います。

 喜久醉のラインナップです。喜久醉と書いて「きくよい」と読みます。

・喜久醉 普通酒
・喜久醉 特別本醸造
・喜久醉 特別純米
・喜久醉 吟醸
・喜久醉 純米吟醸
・喜久醉 大吟醸

 対するおそばはパルシェ6階のやぶ福さんのです。

 やぶ福さんは本店が北番町にあります。

 講座にあわせるように、18時45分にお持ちいただきました。

 お酒は飲用温度に変化をつけました。おそばは出来たてであります。相性研究もしやすい環境がパルシェにありますね。駅ビルの長所です。

 おそばの食べ方を指定しました。

1. おそばだけを食べる。
2. おそばにつゆをつけて食べる。

 お酒は冷や7本に加えて、燗(40゜〜42゜)も2本つけました。徳利とポットを旨く使いました。

 おそばの食べ方が2通りとお酒9アイテムの合計18通りの相性をみてもらいました。


 みなさん慎重に真剣に、しくしくと相性をみていってくれましたね。私は話し掛けてはまずいかなと、思ったくらいの真剣さでしたよ。

 それから、よく間違えることがあります。

 ・好きだから相性が良いとする。
 ・美味しいから相性が良いとする。

 相性は嗜好とは別物です!
 相性は嗅覚と味覚の化学であります。

 そのようなことも御理解いただけていたと思いました。1つ1つの診断に対するコメントが素晴らしかったです。

普通酒
 「そば」よりも「そば+つゆ」の方が相性がいいようです。これは冷やでも燗でもいえます。そして、燗をつけた方が、「そば」でも「そば+つゆ」でも相性度はアップしています。「普通酒の燗 + そば + つゆ」が抜群に相性がよいと思われます。

特別本醸造
 「そば」と「そば+つゆ」では、あまり差がなく、相性度は良いと思われます。これは特別本醸造を燗をつけてもほぼ同じ結果となりました。

特別純米
 「そば」と「そば+つゆ」では、あまり差がなく、相性度は良いと思われます。冷やと燗では冷やに軍配が上がります。

吟醸
 「そば」との相性は抜群にいいです。「そば+つゆ」との相性もいいと判断されます。

純米吟醸
 「そば」と「そば+つゆ」のポイントは変わらず、相性は良いです。

大吟醸
 「そば」と「そば+つゆ」のポイントは変わらず、相性は良いです。

相性研究結果から導かれること

 最も相性のよい組合せは次の2つでした。

1. 普通酒の燗 + そば + つゆ
2. 吟醸の冷や + そば

 この2点についてのみなさんのコメントです。

1. 普通酒の燗 + そば + つゆ について
  「普通酒の燗は味がまろやかでそばにあう」
  「そばとお酒の香りがあう」

2. 吟醸の冷や + そば について
  「お互いに邪魔されない」
  「お互いの良さを引き出す」

 また、こういった御意見もありました。
「大吟醸までくると吟醸香の高さが目立ってしまって邪魔をする」
「吟醸の香りまではOK、それ以上は×」

わたくし河原崎の診断

 おそばは「白」と「黒」の味わいが同居しています。「白」は更級(さらしな)系で尊重される部分で、「黒」は薮(やぶ)系で尊重される部分であります。

 そばの実は黒っぽく、そば粉にするために磨いていきます。そばの実の周りの黒っぽさの特徴を出しているのが薮系のおそばであります。田舎蕎麦はもっと出しています。そばの実を磨き、黒っぽさがなくなりますと、白くなります。この白い部分の特徴を出しているのが更級系です。

 黒っぽい部分は味が濃く滋味を感じます。そばらしい香りも高いです。一方の白い部分はソーメンのようにさっぱりとしています。

 おそばを日本酒に例えますと、薮系・田舎蕎麦はお米があまり精米されていないお酒であり、更級系はお米が精米されたお酒になります。

 薮系・田舎蕎麦 → 普通酒に近い
 更級系     → 吟醸酒に近い

 今回のやぶ福さんのおそばは藪系であっても更級系の良さを持ち合わせています。

 出会ったお酒によって、どちらかに導かれていきます。

 つまり、普通酒と出会いますと、黒い部分のそばが答えます。似た者同士が共鳴しました。しかも燗をつけた方が、まろやかであわせやすいです。

 吟醸酒と出会いますと、白い部分のそばが答えます。磨かれた似た者同士が共鳴しました。

 このように無意識ではありますが、嗅覚と味覚と脳が働いた結果だと思われます。

 今回はおそばの持つ要素とお酒の持つ要素が、お互い刺激しあったような結果となりました。これはおそばと日本酒のみに限らず、すべての組合せにおいていえることであります。これからもお酒とお料理の相性研究は講座に取り入れていきます。

 冬には鰻の蒲焼きなどがいいなあと計画しています。鰻は夏をイメージさせますが、鰻屋さんからは、冬の方が脂がのっていて美味しいと教えてもらいました。

 それはともかくとして、おそばと日本酒の相性研究はよかったです。青島酒造さんの喜久醉のお酒もやぶ福さんのおそばも美味しかったから、素敵な結果となりました。

 おそばは蕎麦から作られ、お酒は米から作られます。どちらも派手な香味は持ち合わせておらず、地味な存在だと思います。シンプルゆえに奥が深いのでしょうね。永遠のテーマのようにも思います。


お酒とお料理の相性 / 丸河屋