うなぎの蒲焼と日本酒2.

2009年8月4日(火)

 うなぎの蒲焼と日本酒1.を書きました。長期熟成された古酒の中でも淡麗なタイプがあうと書きました。

 でも待てよ、それだけではないだろ。もうちょっと探ってみよう。

 華やかな吟醸酒はあわないし、すっきりした本醸造は希釈効果はあるものの、それ以上は期待できないし、純米酒はごはん代わりとしてはあうが、決定的ではない。

 もっと個性的で合いそうなもの。
 きもとや山廃系はどうか?

 100年以上前は日本酒は乳酸を添加してはいない。その蔵ごとの個性が光っていた。しかも酵母以外の微生物の作用もあるので、香味も複雑。

 山廃系でも今風の香味を持ち合わせているもの。その2つを選んで相性をみてみました。

 

 天狗舞と福千歳の山廃純米無濾過生原酒であります。

 もう1本、高砂の山廃純米無濾過生原酒あらばしりがあればよかったのですが、売り切れですから、しょうがありません。

 枯れた稲穂を思わせる香り、練れているまったりした味わい。これがうなぎの蒲焼にあうと想像していました。お酒とお料理の相性の気心がある人ならば、選んでみようと思うタイプです。

 

 ここでうなぎの蒲焼について再確認します。

 うなぎの蒲焼を分解すると。

 うなぎ由来:川の水や土と暮らす川魚類独特の匂いと風味+油っこさ+白身魚に肉の旨味
 蒲焼由来:醤油主体のたれの旨味・甘味+香ばしさ
 山椒由来:スパイシーさ

 つまり、うなぎの蒲焼は、独特の香りと香ばしさを持った、油っぽい濃醇な味わいであります。これに山椒が加わります。香りが複雑になり、味はさっぱりさせてくれる方向に引っ張られます。

 

 チーズとの相性の良さも取り立たされている山廃系。それは古酒にも通じることですから期待も高まります。

 

 さて、その結果は。

 うなぎの蒲焼 + 山廃純米無濾過生原酒 = 

 お酒の含み香(口の中に入って膨らむ香り)が強く、うなぎの蒲焼全体に勝ってしまいます。

 原酒(加水されていないお酒)を使ったからでしょうか。でも原酒でなければ、あのまったりとした枯れた感じが出せません。ここはあきらめて、頭を入れ替えます。

 

 うなぎの白焼とあった樽酒はどうか?うなぎの蒲焼ともあわせてみました。

 うなぎの白焼よりも脂分が多く、タレも濃い蒲焼。

 それに対して樽酒はでしゃばらず、引っ込みすぎずに気を使っているようです。

 樽酒からは自分の個性もも活かしながら、相手も立てるという尊敬効果が感じられます。

 尊敬効果は相性研究としては調和◎に入ります。

 樽酒の杉の香りがうなぎの蒲焼のタレの香りに調和します。
 山椒の香りにもあい、森林の爽やかさを奏でます。
 魚特有の生臭さを表に出さないのは、日本酒全般に言えること。樽酒もうなぎ特有の香りを丸め込みます。

 樽酒は上立香(鼻から捉える香り)と含み香(口の中で捉える香り)が同じ。
 口中でグンッと膨らむことがないので、バランスよくあいます。

 うなぎの蒲焼 + 樽酒 = 

 

 うなぎの白焼と同じで、うなぎと樽酒は江戸時代を思わせてくれるノスタルジーな相性。

 うなぎと樽酒は日本を代表する栄光のカップルだ。


お酒とお料理の相性 / 丸河屋