●NO.3「菊源氏に思いを馳せて」 2003年5月20日

 菊源氏が大変だ。またか。いや、今度はもう最終段階も終わりの章だよ。っでどうしたって?
菊源氏は旭化成(アサヒビール)から合同酒精に売却されるが、酒造の部は廃止。菊源氏の名は、もし残ったとしても、それは伊豆のお酒ではなく、単なるひとつの銘柄になり、どこで造られ、だれが売り、どなたがいくらで飲むのか、もう所詮は菊源氏としての価値がなくなってしまうそうだよ。

 菊源氏のイメージ・・・一般的

 伊豆の大仁の大手酒造会社(旭化成)の日本酒であり、大量生産され大量販売される銘柄。地酒ではなく、静岡県にあっても静岡県のお酒とは一線をおく。静岡県・名古屋国税局・全国の新酒鑑評会では、上位入賞の常連蔵。よくある大手の蔵同様に、いいものはコンテスト用に造られ、それらは市販酒には回されず、市販されて流通されるのは、入賞酒とはほどとおいもの。・・・こんな感じで菊源氏も見られていると思います。

 菊源氏のイメージ・・・私的、「私も行きました・私も飲みました」

 菊源氏に行ったのは、いつだったでしょうか。東海道線の三島で修善寺線の乗り換え、田京という駅で下車。徒歩数分で着いた蔵はどこかの大学のような風貌でした。体育館のような工場と校舎のような事務棟、さすがは静岡きっての大手蔵だと思いました。ここでは清酒の他、焼酎にウイスキー、またお酒には関係ないですが、薬品などを多く作っているようです。私が訪問した理由は、日本酒の開発でした。まだ世に見ぬ酒、そんなお酒を夢見て考案し、実現化に向けて相談しに行きました。考案したお酒は、緑色発泡清酒です。着色料など使わずに緑色を出したい、しかも炭酸入りです。これには向こうの製造部長さんも仰天。菊源氏は以前、300mlの発泡清酒を造っていたことを知っていましたので、相談を持ちかけました。結局、どんなお酒を私が造ろうとしても、瓶詰めラインが稼動するには、相当数を造らねばならないことがわかり、あきらめました。

 そして、この時に菊源氏という地酒についても聞いてきました。本醸造・純米・吟醸・大吟醸・純米大吟醸は静岡県の他の地酒蔵同様に小仕込みで造るそうです。造られたお酒はタンクに貯蔵され、出荷を待ちます。

 しかし、ここからが大問題です。生の本醸造の300mlだけは瓶詰め後、冷蔵で貯蔵されています。後の大吟醸などは、常温でタンク貯蔵されて、必要に応じて瓶詰めされていきます。その後も冷蔵はされずに問屋に流れ、酒屋に運ばれてきます。酒屋で買う菊源氏の大吟醸はどうなっているか、もうおわかりでしょう。大吟醸どころか、中吟、いや小吟にも該当しません。悲しいです。2002年の9月に駄目元で大吟醸を720mlで6本仕入れました。届いたお酒のラベルはワールドカップ用になっています。この年の春から夏にはワールドカップが開催されて静岡でも試合がありました。その時用だったのでしょうね。思った通りに老ねていました。いくらなんでも大吟醸ですよ、どうしてこんな扱いを受けるのでしょう。6本の大吟醸は我慢して飲みましたが、それでも半分の3本が許せる範囲でした。いいものができ、いい状態で保存管理され流通されて美味しく飲む。大きな企業なのに、この単純なことができないのです。

 菊源氏のイメージ・・・将来の理想郷

 もし、許せるものなら、菊源氏をまともな蔵元として再構築してほしいと考えます。今までは大きな会社の企業論理に押しつぶされ、いくらいいお酒を造っても、何の意味もない。もうこんなことをしている蔵も全国には少ないかもしれませんが、静岡の地酒の道を歩んでほしいです。アルコール製造業ではなく、もっと文化的な日本酒製造業として復活に期待します。

 企業様にお願い・・・旭化成様と合同酒精様

 菊源氏の地酒蔵としての資質は全国屈指です。この菊源氏のすばらしい伝統、優秀な蔵人の活躍ができる場を提供して下さい。今までの大仁工場内で別会社にして存続させてくださってもいいですし、合同酒精のある静岡市清水の敷地の中に数十坪の蔵を造ってくださってもいいですから、何とかならないでしょうか。

 折しも今年の名古屋国税局の鑑評会では、純米の部で堂々の首席です。東海4県で一番を取りました。


コラム 丸河屋